昨日、函館駅前のバス案内所(ここは本当に頼りになる)で「ユニバーサルホーム日吉」の最寄りのバス停に行く路線・乗り場と待ち合わせ時刻に間に合う便は確認しておいた。
ここから、安積さんが合流することになっていたんだけど、出発の時刻になっても、道路が混んでいてまだかかりそう、という連絡。もう先に行くしかないな、と乗ろうとしたその時、向かい側に停まった高速バスから安積さんと介助の男性が降りて来た。他にお客もいなかったので、迷惑そうな運転手さんを何とか引き留めることができた。
一時帰国していた一年ほど前に東京で会って以来だと思う。まったく相変わらす元気そうで、介助の李さんに挨拶し、札幌に住むようになってからの出会いの話など近況を聞くうち到着。
電話で到着を告げ要領を得ない私を心配してバス停まで車で迎えに来てくれた鈴木さんに、車中で「グループホームは障害種別、そうでなくても障害者用、となっていますよね。誰でも、どんな方でも、というグループホームを初めて知って……」と言うと「ここはグループホームではないですよ」とキッパリ。驚き。普通の民間アパートを高い志と周到なコンセプトを持って建てたにすぎないと言う。
去年の暮れオープンしたばかりで、外観はきれいなマンションという感じ。入ってすぐの食堂は、近隣の人もアパートの住人も利用出来るよう食券制になっているとのこと。カウンター越しに厨房もある(区役所など公共施設の食堂みたいな感じ)。
ガイドヘルパーと手話通訳者がひとりずつ常駐。居室は、単身用から核家族用くらいのさまざまな大きさのものが37戸、家賃は管理費・共益費込みで5万円弱〜10万円弱くらいで設定。聴覚・視覚障害のかたを想定して作られているため優先はあるが、基本的に誰でも住んでよい場所という。
ベッドにはナースコール、壁には非常灯もついている。これらは各部屋設置前の状態にしてあり、入居者が決まってからその人の求めに応じて設置する。札幌いちご会で介助と住まいということを追求して来られた小山内美智子さんが公営住宅建設について提唱していた「ハーフメイド方式」と同じ考え方、とても合理的だ。
見学が済んで、食堂で鈴木さんとお話をする。私はここの設備やら、助成なしでどうしやって完成にこぎ着けたか、しばらく運営して問題は……などなど、たくさん質問があった。まずは同席されていたアパートの住人で聴覚障害のある若者に話を聴きたい、と鈴木さんの見るからに流暢な手話通訳に頼り切ってどんどん質問するうち、鈴木さんがとても疲れた様子で「少し休ませて」と。誠実で上質な通訳という仕事がどれほど全神経と全身体をこき使うことか、介助という経験から想像が働くはずの私なのに、また調子に乗ってやってしまった……。どうしよう、お詫びのことばが見つからない。
と、安積さんと鈴木さんの目があうと、鈴木さん自身が幼少期に実の親から受けた虐待の経験のこと、娘さん(娘と同年代)のこと、ある日ふとした思いから始めたミュージック・サイン(歌につける手話の表現)のこと……などを語って下さった。
さっき初めてお目にかかったときから、クールで落ち着いた物腰に魅せられてしまっていたのだけれど、お話を聴くうち、この鈴木三千恵さんがどんどん好きになってしまって、これからの旅の船頭さんになってくれそうな予感さえして、また調子に乗っておかしなことを言わないように自分を制するのに必死だった。
でも、聞いてしまった。
「どなたか、会うべきかたがいたら教えてください」
すると「横川由紀さん」と即答。横浜出身で、人工呼吸器を利用しながら函館で自立生活し、自立生活センターも企画しているかたという。
そして別れ際、思わずハグしてしまった。
三千恵さんはスッとハグを返してくれ、ホッとした。
その後は、安積さんのペース。函館のビジホに泊まるつもり、という私を「何言ってんの」と制止し、知り合いの大学生が暮らすマンションに押し掛け、雑魚寝する展開に。もっとも、ケータイの充電が切れ、充電器を持ってくるのを忘れた私は真っ青、電気屋さんももう閉まっていたため、明日の再会を約束して、安積さんがケータイを貸してくれたのでとても助かったのだけど。
強引なペースに引っ張られるのはすごく苦手だけど、今日はそれに助けられた。お礼を言わなくちゃ。
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